私は酒が強い。見た目は弱そうと言われる(顔で飲むわけじゃないのに何だろう、その判断基準)けれど、今まで酒豪と言われた人たちと何度も飲み比べをして、そのたびに祝杯を挙げてきた。じゃあざるなのかと聞かれたら、それもちょっと違う。酒を飲むと妖怪人間みたいに顔色が変わってしまうので、肝臓はちゃんと酒だと認識しているようだ。私は酒を飲んで潰れることはないし、記憶を失くすこともない。だけど酔っ払っておかしくなることはままあるのだ。ざるっていうのは飲んでも変わらない人のことを言うわけで、そうなると私の場合はちょっと違う気がする。
お酒は強いけれど、お酒の失敗談も人一倍多い。この前も酔っ払って気持ちよくなってカギのキーホルダーを指でクルクル回していたら近くのどぶ川にぴょーんと飛ばして失くしてしまったことがあった。次の日に探しにいったけれど、もう流されてしまっているだろうなというくらいの水流だったので泣く泣く諦めた。実はその一か月前にも、やはり酒を飲んで気持ちよくなり、居酒屋にいた人たちに札や小銭を配り歩いていたら、どうやらカギまで渡してしまったらしい。こちらも後で居酒屋の店員さんや常連さんに尋ね回ったけれど、結局カギは出てこなかった。理由が理由なだけに、夫には口を利いてもらえなくなるくらい怒らせてしまった。金輪際飲みに出歩くのを止めるか、絶対にカギを失くさないような対策をしない限り、離婚も辞さないとまで言われてしまい、それでも酒断ちはできないへなちょこな私はカギを失くさない方法を一生懸命考えた。そして行き着いた答え。それは両親共働きの小学生みたいに、カギを首からぶら下げることだった。だけどそんな原始的な方法でとバカにしないでもらいたい。その対策をとってからというもの、私は一度もカギを失くしていないのだから。←いばること?
今日も両親共働きの小学生よろしく、居酒屋へと闊歩する私だった。